新垣:その気持ち、すごくわかります。私にとってこの作品は、いい意味で役者としての課題を与えてくれる存在だと思う。新シーズンをやるということになったいまも、単純に「よかったね、楽しみだね」だけの感情では入っていけません。いいタイミングで、自分にとっての課題をはっきりさせてくれる作品が巡ってきたと感じます。そして、全編を通してすばらしいセリフが多いのも、この作品の魅力。生きていくうえで「出合えてよかった」と思える言葉たちにめぐり合うことができた。今回も、そういうセリフとの出合いを楽しみにしています。

浅利:7年前の僕は、「みんなの中で自分が一番実力がない」と感じていました。その劣等感が役柄とリンクして、等身大で演じられた部分が大きかったと思います。いまもやっぱりみんなはすごいわけだけど、自分も一つ一つ積み重ねてきた自信があるから、今度は肩ひじ張らずに演じたい。「藤川」という役柄とずっと付き合う中で、僕自身も大きく成長できました。

●みんな勝ち残ってきた

山下:僕が藍沢という役を演じることを通して教えてもらったのは、苦しみや葛藤、成長、そして希望という言葉の意味です。成長し続けるためには、苦しみもがき続けなければならないし、学び続けなければ希望はやってこない。

 いま、新しい台本を読んでいるところですが、やっぱり今回も、藍沢と向き合って悩み続けているし、役者として学び続けているなと実感しています。これは、何かを成し遂げようとするときには必ず繰り返さなければならないサイクルなのかなって。挑戦し続ける気持ちは、この作品を通して学ぶことができたものだから。藍沢の、どんなに苦しんでも絶対に負けない精神力の強さは、自分が仕事をするうえでもとても刺激になっています。

 今回、再び集まることができた5人は、それぞれが違う現場で戦って、ある意味勝ち残ってきた素晴らしい役者ばかり。経験値を積み重ねて強くなった5人の背中を後輩に見せつつ、新たな作品の魅力を切り開いていけたらと思っています。

(構成/ライター・まつざきみわこ)

AERA 2017年7月24日号