都議選で創価学会婦人部の意向が強く働いた?(※写真はイメージ)
都議選で創価学会婦人部の意向が強く働いた?(※写真はイメージ)

 東京都知事選に続き、「小池旋風」が吹き荒れた都議選。都民ファーストと連携し、「完勝」した公明党の存在感が際立つ。安倍改憲戦略への影響はどうなるのか。

 東京都議選の告示を控えた6月下旬。公明党の公式ツイッターの「毒舌」に注目が集まった。

「汚い! 実績横取りのハイエナ政党」

 標的は共産党だった。投稿されたツイートは、「3つのKでわかる 共産党ってどんな党?」というタイトル。「3つのK」とは、「汚い」「危険」「北朝鮮」を指す。

「『ハイエナ政党』という表現はさすがに、ここまで書くか、と思いました」

 苦笑まじりに振り返る公明党関係者は、こう明かした。

「最後は共産との争いになると見ていたからですよ」

●都議選競り負けた自民

 公明は、共産が政権批判の急先鋒(きゅうせんぽう)と警戒。多くの選挙区で、都民ファーストと自民に続く3議席目を共産と公明が争う構図を想定していた。だが、ふたを開けてみれば、都民ファーストが49人(別に追加公認6人)と大躍進。公明は擁立した23人全員が当選(1議席増)、共産は2議席増の19人が当選した。公明が選挙協力を解消した自民だけが一人負け。自民党議員や閣僚の失言、失態が続いたためか、当選は23人(改選時57人)と惨敗、次点で競り負けたのは28人に達した。

 都議選での都民ファーストとの連携には、公明の支持母体・創価学会婦人部の意向が強く働いた、との指摘もある。

「都知事選のときから婦人部で『小池さんが好き!』との声が多かったのは事実です」

 そう打ち明ける学会関係者は、婦人部をこう評する。

「婦人部は民意そのもの。庶民目線で日常の課題と向き合ったり、テレビを見て感じたりしています。選挙となれば口コミや横のつながりで最大の貢献をしてくれるのは婦人部です」

●政権弱体で改憲の誘惑

 ほかの地方選挙でも、公明の堅調ぶりが目につく。今年1月の北九州市議選で、公明は13人全員当選で2議席増。6月の兵庫県尼崎市議選でも12人全員当選の3議席増で、10年ぶりに最大会派に浮上した。

 ある政治ジャーナリストは、こう話す。

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渡辺豪

渡辺豪

ニュース週刊誌『AERA』記者。毎日新聞、沖縄タイムス記者を経てフリー。著書に『「アメとムチ」の構図~普天間移設の内幕~』(第14回平和・協同ジャーナリスト基金奨励賞)、『波よ鎮まれ~尖閣への視座~』(第13回石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞)など。毎日新聞で「沖縄論壇時評」を連載中(2017年~)。沖縄論考サイトOKIRON/オキロンのコア・エディター。沖縄以外のことも幅広く取材・執筆します。

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