葬儀社「ライフネット東京」の代表で、3年ほど前に終活コミュニティー「マザーリーフ」を立ち上げた。その活動の中で、死そのものを自分事として落とし込んで語り考える場が必要だと気づいた。昨年9月にスタートし、基本的に月1回のペースで開催してこの日が10回目だ。終了後、2回目の参加だという50代の女性は、こう話した。

「死について語れる場があるのは大事だと思います」

 社会保障問題に詳しいみずほ情報総研主席研究員で日本福祉大学教授でもある藤森克彦さんは、人生の最期における「生活の質」を意識する人が増えるので、終末期について語る場はこれから増加すると見る。

「限りある人生の『今』を大切に生きるためにも、終末期に思いを向けることは意義がある。大切な人の死をきっかけに、自らの終末期を考える人も増えるでしょう」(藤森さん)

 死を気軽に話せる時代が来ている。(編集部・野村昌二)

AERA 2017年7月10日号

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野村昌二

野村昌二

ニュース週刊誌『AERA』記者。格差、貧困、マイノリティの問題を中心に、ときどきサブカルなども書いています。著書に『ぼくたちクルド人』。大切にしたのは、人が幸せに生きる権利。

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