小池晃(こいけ・あきら)/1960年生まれ。医師として勤務した後、98年7月の参院選で初当選。共産党参議院議員団長、副委員長などを歴任し、2016年4月から書記局長(撮影/横関一浩)
小池晃(こいけ・あきら)/1960年生まれ。医師として勤務した後、98年7月の参院選で初当選。共産党参議院議員団長、副委員長などを歴任し、2016年4月から書記局長(撮影/横関一浩)

 委員会審議を打ち切る“禁じ手”まで用いて強行採決された「共謀罪」法。だが、捜査対象は曖昧なまま。思想弾圧された歴史を背負う日本共産党の論客に聞いた。

 組織的犯罪集団とは何か、一般人は対象にならないのか、内心の自由は侵害されないのか──。そんな懸念が払拭(ふっしょく)されぬまま、「共謀罪」法は7月11日の施行が決まった。

 捜査対象が曖昧(あいまい)なままでは、政府が「危険」と判断した市民団体、労働組合、デモ参加者などが狙い撃ちされかねない。それは、政党も例外ではない。ある政治記者が話す。

「政権批判の急先鋒(きゅうせんぽう)で、痛いところを突く共産党を、捜査対象にするという理屈すら成立してしまう」

●共産党攻撃強める政権

 そう懸念するのは、安倍政権が2016年3月、質問主意書に対して、共産党を「現在も破壊活動防止法(破防法)に基づく調査対象団体である」とする政府答弁書を閣議決定したからだ。暴力革命の方針を継続している団体だから監視が必要との論理で、

「捜査当局が拡大解釈すれば、共産党を捜査対象にする可能性もゼロではないのではないか」(前出の政治記者)

 政権や自民党が共産党攻撃を強める背景には、民進党など野党の保守系議員を刺激し、選挙での野党共闘を阻止するためとの見方がされている。そもそも破防法は東西冷戦下の1952年、共産党を排除する目的でつくられた法律で、最近になって政府見解が変化したわけではない。だが、「共謀罪」法ができた今、この閣議決定はより不気味な色彩を帯びる。同党書記局長の小池晃参院議員は、こう話す。

 荒唐無稽な閣議決定です。公安当局は60年以上ずっと共産党を調査対象団体としてきたが、いくら調べても暴力革命を目指す事実は出てこず、破防法は一度も適用できなかった。党の綱領でも、日本社会の変革は言論と選挙を通じて実現すると明記している。閣議決定時に「撤回せよ」という声明も出したが、今でも放置されているのは許しがたいことです。

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