ぐっちーさん/1960年東京生まれ。モルガン・スタンレーなどを経て、投資会社でM&Aなどを手がける。本連載を加筆・再構成した『ぐっちーさんの政府も日銀も知らない経済復活の条件』が発売中
ぐっちーさん/1960年東京生まれ。モルガン・スタンレーなどを経て、投資会社でM&Aなどを手がける。本連載を加筆・再構成した『ぐっちーさんの政府も日銀も知らない経済復活の条件』が発売中

 経済専門家のぐっちーさんが「AERA」で連載する「ここだけの話」をお届けします。モルガン・スタンレーなどを経て、現在は投資会社でM&Aなどを手がけるぐっちーさんが、日々の経済ニュースを鋭く分析します。

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 働き方改革について再度。今週はパリにいるんですが、ここにいるといつも考えさせられるんですよ。平日にもかかわらず、みんな昼間からばんばん酒飲んでます。昔より飲まなくなったと言ってますから昔はどんだけ飲んでいたんだよ、と思います。いま我々の隣の席で飯食ってワインを飲んでいる女性2人組は、なんと某大手の銀行員!!(日本でいうと三菱東京UFJ銀行のOLが昼から酒飲んでる……)。あんまりに楽しそうなので「仕事は楽しいですか?」と聞いたら「あんた、ばかじゃないの、仕事が楽しいわけないでしょ! 昼から友達と食事をするのが楽しいから嫌な会社に毎日来ることができるの!」と一喝されました。おっしゃる通り……。

 多分日本だと、OLの分際で昼から酒なんか飲みやがってとんでもねえ、とかいう話になるんでしょうが、人生を楽しむことを最大の目標とするフランス人にとって、これは当たり前の光景であります。私の友人も決して給料が高い職種にいるわけではありませんが、1年間思い切り節約してお金を貯めて、1年に一度の海外旅行に家族で行くことを楽しみにしています。生活を楽しむために仕事をする、という意識が徹底していますね。

 日本には額に汗して働く、という表現がありますが、これだけイノベーションが進んだ現在、どれだけ楽に働くかが課題になってきているのではないでしょうかね。

 昼から酒飲もうぜと推奨する気はありませんが、日本人は、そろそろもう少し人生を楽しく暮らすことを考えたほうが良いのではないかと当地では常々思うわけであります。フランスだって、だからと言って国が潰れるわけでもありません。

 働き方改革は結局、国民の皆様の意識にかかっている。昼から酒飲みやがってとか、散々休みやがってという批判をやめることからスタートする必要があります。

 国ができるのは、そのための制度を作ることであって、例えば保育所の増設や、先々週書いたように学費をタダにすることなどで、そういう生活を後押しすること以外にありません。国民も何でもかんでも国に頼るのではなく、まずは意識から変えていくことが必要でしょう。さあ、今日のランチは仲間と一緒にビールでもいかが!?

AERA 2017年6月12日号

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