「せめて野糞のようになれ」…込められた意味とは? 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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「せめて野糞のようになれ」…込められた意味とは?

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武田砂鉄AERA
野糞って、踏みつけられても相手に不快感を与えられるじゃないか(※写真はイメージ)

野糞って、踏みつけられても相手に不快感を与えられるじゃないか(※写真はイメージ)

 子どもの頃読んで忘れられない本、学生時代に影響を受けた本、社会人として共鳴した本……。本との出会い・つきあい方は人それぞれ。各界で活躍する方々に、自身の人生の読書遍歴を振り返っていただくAERAの「読書days」。今回はライターの武田砂鉄さんです。

*  *  *
「今回はご縁がありませんでした」とのご丁寧な通知を20社ほどの出版社から頂戴し、やさぐれながらも就職活動を続け、なんとか出版社への採用が決まったのが大学4年の晩夏。その頃、耽読していた本田靖春さんが直後の年末に亡くなり、晩冬に刊行された遺作が、この自伝的ノンフィクションだった。

 読売新聞社会部記者として、売血の実態を告発した「黄色い血」キャンペーンを張り、社主の意向に従うばかりの社会部に痺れを切らし会社を辞める。その後、『誘拐』『不当逮捕』等の名作を残した。両足切断・右眼失明・肝臓がん等の病と闘いながら病床で記した本作を読み終えた頃、自分は社会人になった。

 己を権力と対置させよ、「せめて、野糞のようになれ」とある。野糞って、踏みつけられても相手に不快感を与えられるじゃないか。「由緒正しい貧乏人」と称された本田さんの姿勢。権力に従順な物書きも多い昨今、「野糞のように」が強く響く。

武田砂鉄(たけだ・さてつ)
1982年生まれ。ライター。著書に『紋切型社会』『芸能人寛容論』ほか

AERA 2017年6月5日


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