大倉:でも、「鳥肌もの!」って絶賛してもらえたんやろ?

安田:ありがたいことにそう言ってもらえたみたいやけど、家に帰ってきてもずっとしんどかったからね。のど自慢に出てもこんな緊張せえへんやろってくらいドキドキした。

大倉:ヤスはどんなジャンルの曲でも歌えるし、僕はいつも彼の歌声を聴くためだけにお金を払ってもいいと思っているくらい、素晴らしい歌い手やからね。

安田:大倉くんのお墨付きをいただきました! ありがとうね。今回僕が演じるのは、演歌歌手を目指すコージという人物。演歌に対する思いは煮えたぎるように熱い男です。気弱で恐ろしく不器用であがり症。でも、抜群の歌唱力を持ってる。
大倉:ぴったりの役やね。来るべくして来た役じゃない?

横山:ほんまやね。

安田:劇中で演歌を歌うシーンがあるんだけど、歌うというよりも「魂の叫び」というほうがしっくり来るなと思ってる。かつて音楽を禁止された黒人たちが思いを「ブルース」に乗せて爆発させたり、歌うことを禁止された人々が唯一許された「ゴスペル」を歌うことで気持ちを昇華させたりしたように、魂の叫びにメロディーが寄り添っているイメージで演じられたら、と思ってるんだよね。

大倉:いいね。観に行きたい。

横山:そうやな。お互いの作品観れたらいいよな。

安田:横山くんの舞台もちょっと変わってるよね。手塚治虫さんの原作は知らなかったわ。

横山:実は僕も今回初めて知ったんだよね。手塚さんの作品のなかでもかなり哲学的で、「幻の傑作」とも言われているものだから。僕が演じるのは自称・天才ディレクターの門前市郎。斬新すぎる手腕が原因でテレビ業界を追われた門前は、不思議な魅力を持った女の子をスターにしようとするんだけど、それを邪魔する男を殺してしまう。ところが、死んだはずの彼が妄想世界(ジレッタ)をさまよっていることを知って、自分もそのジレッタに魅了されてしまうというお話。

大倉:かなりぶっとんだ作品になりそうやね。

横山:ミュージカルなんだけど、曲調がジャジーだったりして、かなりカッコいいんだよ。このぶっとんだ世界観を脚本・演出の倉持裕さんがどう演出されるのか、僕自身も楽しみ。

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