山崎拓(やまさき・たく)/1936年生まれ。72年に初当選。防衛庁長官、建設相、自民党幹事長などを歴任。近未来政治研究会最高顧問(撮影/写真部・小原雄輝)
山崎拓(やまさき・たく)/1936年生まれ。72年に初当選。防衛庁長官、建設相、自民党幹事長などを歴任。近未来政治研究会最高顧問(撮影/写真部・小原雄輝)

「安倍首相ガンバレ」を叫ぶ子どもたち、教育勅語を朗唱させる幼稚園……。森友学園問題に端を発して「右翼」という人たちが、にわかにクローズアップされている。AERA 2017年5月1-8日号では「右傾化する日本」を大特集。元自民党副総裁・山崎拓氏(80)が「自民党の右の右」を語った。

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 今の自民党は安倍一色。昔の自民党にはリベラル、右寄り、右寄りの中でもさらに右寄りの議員など、実に多様な人材がいました。それは派閥が機能していたからです。

 派閥はリーダー次第ですから、リーダーが右であれば全員右、左であれば全員左にならっていた。たとえば、かつては福田派(福田赳夫氏)と中曽根派(中曽根康弘氏)は右寄り、大平派(大平正芳氏)と三木派(三木武夫氏)はリベラル色が強かった。田中派(田中角栄氏)はどちらかというとノンポリ。いずれにしても、5大派閥が互いに競い合っていましたね。

 自民党に多様さがなくなったのは、小選挙区制の弊害という面もあるけど、この人を怒らせたらどういう目に遭うかわからん、と。安倍晋三首相の方針に誰も逆らわなくなったのが最大の原因でしょう。私は「ヒラメ現象」と呼んでいます。

 みんな上を向いて、安倍総理の顔色ばかりをうかがい、自己主張をしなくなった。官僚も同じ。そもそも役人は、知能指数は高いけど、精神構造としては権力従属型です。国家に対する忠誠を誓っているから、安倍総理の考えに迎合する。教育勅語を学校の教材として使用を認めるという動きはその典型です。愛国的なものをファッションのように使い、天皇主権に基づいた教育勅語を子どもに教えるというのは犯罪的行為ですよ。

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