あと一つ、自民党議員全体が勉強不足なのも問題です。たとえば、稲田朋美防衛相は、安全保障に対する見識はあまりないように見える。今は付け焼き刃的に防衛法制を勉強して詳しくなったと思いますけど、安倍総理にならってものを言っているに過ぎない。自民党は、自分の意見も持たない個性なき集団になった。まっとうな政策論争はどこに行ってしまったのか。

 小泉(純一郎元首相)は、どちらかといえば平和主義者で、戦争を好む人ではないです。ただ、安倍総理を見ていると、“好戦的な姿勢”が気になります。国会で自分に不都合なことを質問されると、攻撃的に言い返すでしょう。相手の言い分に理解を示すということもまったくないようです。

 民主主義は「振り子の原理」が働かないといけない。右と左が交互に政権を担い、バランスが必要だ。かつては自民党内で右、左と政権交代をしていた。しかし、いま党内は保守もリベラルも色分けがつかなくなった。私は民進党にも期待していたけど、無残にも国民の信望を失っていますね。だから八方ふさがりの感じがします。

(聞き手/編集部・野村昌二)

AERA 2017年5月1-8日合併号