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ケンブリッジ飛鳥 プロとして初シーズン「9秒台の壁はあまり感じない」

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by 高野祐太 (更新 )

「将来はモデルみたいな活動もやってみたい」と話すケンブリッジ飛鳥。フィジカル強化で体重は昨季よりさらに3kg増の79kgになった(撮影/山本倫子)

「将来はモデルみたいな活動もやってみたい」と話すケンブリッジ飛鳥。フィジカル強化で体重は昨季よりさらに3kg増の79kgになった(撮影/山本倫子)

 昨夏、リオ五輪陸上男子400メートルリレーでアンカーを務め、銀メダルを獲得したケンブリッジ飛鳥(23)は、プロとして初シーズンを迎えた。新たなステージを歩む意味とは。

「やっとスタートラインに立てたという感じです」

 昨夏、史上最速のウサイン・ボルト率いるジャマイカに次ぐ色のメダル獲得という、日本陸上史に残る快挙をやってのけた男が、こんな言葉を口にした。

「確かにリレーではメダルを取りましたけど、(100メートルで準決勝敗退だった)個人種目では、まだ何かが始まったとは思っていないので。これからがスタートだと思いますね」

●男子短距離初のプロに

 ケンブリッジがこう語る背景には、大学時代に負った大きなケガからの回復がある。2014年、3年生の5月の関東インカレ100メートルで左太もも裏の肉離れを起こしてしまう。以降、痛みを引きずりながら、だましだましのレースが続いてきた。

 だが、リハビリの甲斐あって、大学を卒業した昨季には痛みがぶり返すことがなくなった。ようやく思う存分世界に挑戦できる状態まで漕ぎ着けた感覚があるという。

 そんなケンブリッジがリオ以後に打った最初の一手が、昨年12月のプロ転向宣言だった。外部からは突然の決断にも見えたが、本人にとっては以前から思い描いていた構想だったという。

「きっかけはオリンピックでした。『海外のトップ選手たちはみんなプロでやっている。自分も同じ立場で勝負してみたい』という思いが深まって決めました。でも、いつかはプロで、という考えは大学生のころから持っていて、それがなければ今回の決断はなかったと思います」

 日本の陸上界ではトップ選手は企業チームに所属することがほとんど。プロとして活動した例は世界選手権400メートル障害銅メダリストの為末大など数えるほどしかない。男子短距離ではケンブリッジが先駆者の役割を果たすことになった。
 プロの道を選んだということは安定した収入を失い、結果を残せなければ契約解除されるリスクを負ったということ。しかし、やりたいことをやれる自由度が増した利点がある。


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