ダル重な人々を標的にした「簡易検査」という新たなサービスとは?(撮影/写真部・堀内慶太郎)
ダル重な人々を標的にした「簡易検査」という新たなサービスとは?(撮影/写真部・堀内慶太郎)

 体がダルい。どうにも頭が重い。でもはっきりと名前が付く病気というわけではないから、病院には足が向かない。そもそも、平日の昼間に仕事を抜け出す余裕なんかあるわけない。これが、過剰労働社会ニッポンの「現実」だ。AERA 2017年4月24日号では「ダル重」を大特集。あまたある健康ビジネスに踊らされることなく、このダル重を解消するには、どうしたらいいのだろうか。

 いま、「簡易検査」という新たなサービスが広がっていることをご存じだろうか。ターゲットは、国民病ともいえる「ダル重」を抱えた働く世代。自宅や外出先で簡単にできる検査はどんな「思惑」のもとに行われているのか。

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 小さなT字形のプラスチック製検査器具を中指の先に押しこむと、チクンと痛みが走り、あずき大の血があふれた。担当の薬剤師はそれを直径10センチほどの丸いディスクの先にちょんとつけて、小型プリンターのような機械に差し込む。これで「検査」は終了。6分後、機械が糖尿病のリスクを示す「HbA1c」の数値5.5を吐き出した。脂質についても同様に検査して、あわせて1500円也。

 なんだか体がダルい。頭が重い。たっぷり眠ったのに疲れがとれない──。

 ビタミン剤のCMではないが、人手不足と生産性の低迷に悩むニッポンで「ダル重」はもはや国民病のようなものだ。厚生労働省の国民生活基礎調査(2013年)によると、病気やけがなどで自覚症状がある「有訴者」は1千人当たり312.4。彼らが訴える症状の上位が、「肩こり」「腰痛」「手足の関節が痛む」「体がだるい」「頭痛」などだ。

 名前が付くような病気ではないから、病院には足が向かない。08年から40~74歳を対象に導入された特定健診、いわゆるメタボ健診の受診率も、5割程度にとどまる。それでも、このダル重をなんとかしたいと悩む人々に向けて、いま、自宅や外出先で簡単にできる簡易検査サービスが少しずつ広がっている。

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福井洋平

福井洋平

2001年朝日新聞社に入社。週刊朝日、青森総局、AERA、AERAムック教育、ジュニア編集部などを経て2023年「あさがくナビ」編集長に就任。「就活ニュースペーパー」で就活生の役に立つ情報を発信中。

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