分割民営化当時は、国がJR北海道、JR四国の経営安定基金を用意し、その運用益で支援をする考えでした。しかし、低金利で高い利回りが期待できなくなりました。そこで私が国交相だった2010年に、事業仕分けで国庫返納とされた独立行政法人「鉄道建設・運輸施設整備支援機構」の利益剰余金約1兆3500億円を活用しようと考えました。その結果、経営安定基金の積み増しなどを通じて、JR北海道・JR四国も含め、JR3島と貨物会社への新たな支援制度を創設することができました。

●今ある路線維持したい

 鉄道は環境に優しく、高齢化社会に適しています。そして災害時などには物資輸送にも力を発揮することは言うまでもありません。鉄道の果たす役割はまだまだあります。JR北海道にしろJR四国にしろ、鉄道事業以外でしっかり収益を上げるバックアップ体制をつくっていくことが大切です。

 特に北海道には潜在力があります。たとえば北海道の宗谷岬や襟裳岬は風が強く、風力発電に最適の土地。JR北海道が風力発電事業に乗り出すのもいいのではないでしょうか。また、北海道のインバウンド需要はめざましいものがありますから、旅行会社と提携して鉄道で旅をするコースを作るなど、新しいことをすれば面白いですよね。

 これからの鉄道事業は、新幹線整備などの事業ももちろん重要ですが、老朽化した施設・設備などの維持更新に重きを置くべきでしょう。いずれにしても、与野党関係なく、協力しながら何らかの救済案をまとめていきたいと思います。少なくとも、今ある路線は維持したい。

 若手議員の頃は、新幹線の終電時間が今よりも早かったこともあり、地元にはよく夜行列車で帰っていました。東京駅の八重洲口地下に「東京温泉」という温泉があって、同じ地元の野中広務先生と一緒に入っていたこともあります。

「撮り鉄」ですから、年に1回、磐越西線か山口線を走るSLを鉄道仲間と撮りに行きます。ゆっくり休みをとれたら、衣浦臨海鉄道(愛知県半田市)を走るディーゼル機関車DD51を撮りに行きたいですね。

(構成/編集部・野村昌二)

AERA 2017年4月10日号