就活を始めた当初は官僚も考え、省庁のインターンにも参加した。仕事には興味を惹かれたが、懇親会で東大法学部生だけ7、8人固まっているのを見て、気が変わった。

 このまま進んでいくと、今の自分と大きくは変わらないのではないだろうか。

 Speeeに共感したのは、「社会の負を解決する」という思いが話を聞いた先輩社員たちから伝わってきたから。

「社会の問題って、ひとりががんばっても解決しないと思っています。複数の角度、分野からさまざまな人が取り組んで初めて解決に向かう。法学部のほかのみんなが省庁や大企業に行くのであれば、僕は違うところからかかわってもいいんじゃないかって」(村尾さん)

 同社にはこれまでも2人、東大法学部から入社している。

「他にも多くの選択肢があったなかで、しっかり考えうちに決めてくれた人は、意志が強く、働く足腰も強い印象があります。長時間働くとかそういう意味ではなく、馬力があって、ミッションに忠実に取り組む」

 と代表の大塚英樹さん(31)は見ている。

「不動産や医療など、テクノロジーがまだあまり入っていない領域がこれからはターゲットになります。どうやって社会を変えていくか、という目線と強い思いがある人は、これからのテクノロジーの企業と相性がいいと思います」

(編集部・高橋有紀)

AERA 2017年3月27日号