A:その不安は理解できます。日本のワイドショーはみんなトランプさんの移民政策や一方的なTPP離脱、メキシコとの国境に壁を建設する話などを叩いているじゃないですか?2月10日の日米首脳会談は和やかなムードで終わりましたけど、今後の通商政策では日本が割を食わされる可能性もある。けど、昨年のBrexit以降、メディアの報道はあてにならないことがはっきりとわかった。だから、メディアがトランプ叩きを続ける限り、マーケット関係者は逆に買い続けると見ている。

●隠れトランプ支持者

B:某国内大手証券の話ですけど、トランプ勝利が確定した際に、白人トレーダーが歓声をあげて、一斉に「MAKE AMERICA GREAT AGAIN」と書かれた帽子をかぶりだしたようです(笑)。実は、“隠れトランプ支持者”の外国人トレーダーは多いという話。トランプさんの娘婿であるクシュナー上級顧問はユダヤ人で、ユダヤ系資本のGS出身者がトランプ政権で重用されているだけに、マーケットにマイナスな政策を打ち出してくる可能性は低いと考えているトレーダーは多いと思います。そのせいか、私の周りのトレーダーは401k(確定拠出年金)でアメリカ株の比率を増やしている人が多い。私のマーケット予想は中立なので、自分の401kは日本株が40%ですが、1月の制度改正で「iDeCo(イデコ/個人型確定拠出年金)」を利用できるようになったじゃないですか? 企業年金と別枠で積み立てできるようになった分は、アメリカ株にしようと考えています。

C:トランプさんはボラ(ボラティリティー=相場の変動率)を提供してくれるから、収益買いが増えるかもしれませんね。日本株も上がることを祈っておきましょう。

(ジャーナリスト・田茂井治)

AERA 2017年2月27日号