A:2月2日の入札は不調で、長期金利が0.1%を超えましたね。1月には「ここは日銀が国債買い入れオペを確実にやるだろう」っていうところでオペを見送り、かと思ったら国債買い入れ額を微増(1月27日に5年超10年以下の買い入れ額を400億円増加)させたり、日銀がいまいちなにをしたいのかよくわからない。翌3日には長期金利が0.15%まで上昇して、さすがにオペに踏み切りましたけど、トランプさんがオペに反応して「為替操作国」と批判してくるようだと、日本の長期金利はもう少し上振れしてくる可能性もある。

C:僕は、日銀の功罪って非常に大きいと思うんですよ。ものすごくマーケットがゆがんでしまっている。「国際金融市場の不確実性が企業や家計の心理の悪化につながらないように」と今や、年間6兆円ものETF(上場投資信託)を買っているじゃないですか。一方で、日本の株式市場で商いの6割を占める外国人投資家は2015年、16年と2年連続でリーマン・ショック時に近い額の売り越しを記録している。

A:リーマン・ショックのときは外国人が3兆円も売り越して、日経平均は40%も値下がりしましたよね。

C:けど、15、16年ともに値上がりしたじゃないですか。日銀が買い支えることで好循環が生まれればいいんですけど、日銀の次に昨年、日本株を買っていたのは“自社株買い”です。個人は全然買っていない。日銀と企業の自社株買いという“事務的”な買い需要で高値を維持しているなんて異常です。

B:年金も昨年は買ってませんね。運用担当者に聞くと、国会で「GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の含み損が◯兆円」とか追及されるのが、本当に嫌らしいです(笑)。

●日銀が機会を奪う

C:GPIFは高値を追って買ってきたりしませんからね。それは個人も一緒です。昨年10ー12月の四半期決算では野村証券が業績を伸ばしたじゃないですか?ここ数年、野村の商品のなかで出来高1、2位を争っているのはレバレッジETF(NEXT FUNDS日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信=日経平均の値動きの2倍のリターンを目指すETF)です。14、15年の株高局面で大口の個人投資家もこぞってこのレバETFを買ったらしいのです。ところが、15年に日経平均2万円を付けてから反落して、16年6月のBrexit後には1万4千円台まで急落。高値でレバETFをつかんだ人は30%以上の含み損を抱えてしまった。それが、トランプラリーで急回復したので塩漬けになっていたレバETFの手じまい売りが殺到して、野村の手数料収入が急増したというのが、実態のようです。

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