「かつては優秀な地方出身の次男・三男が数多く在学し、地元にいる長兄に代わり、東京で得た知識を生かして幅広い分野で活躍した。その時代の早稲田に戻したいという思いがあります」

 同入試では高校までの経験とそれに基づく問題意識を重視。課題リポートで本人の特性と、入学後の専門教育との親和性について審査するという。

●大学経営面での事情も

 文部科学省が進める教育改革の中でも重要視される、アクティブラーニングの手法を取り入れたのが、18年度入試から「PASCAL入試」を導入する創価大学だ。同大では10年度まで、面接に軸足を置いたAO入試を実施していたが、入学後の学習への連動が課題となり廃止に。PASCAL入試では、グループワークと小論文、面接を通して協働、理解と受容、論の展開能力などを見極めるという。

「混迷を極める国際社会に対峙するには、多様な意見を受容し、文化や価値観を超えて人と交流できること、想定外の事態を受け入れ、どう解決に導くかが問われると考えた結果です」(創価大学アドミッションズセンター長・山岡政紀さん)

 新AO入試が盛んに導入される背景には、従来のAOでは一般入試合格者との学力差が顕著だったからという理由もある。

 大学通信の安田賢治ゼネラルマネージャーは、「質を確保するためのAOへと変化している」と変化を分析する。

「大学の経営面での事情もあります。私立大の4割強が定員割れという時代、ミスマッチによる退学はなんとしても避けたい。より大学の望む人物像に沿った学生に確実に入学してもらいたいという思いもあるでしょう」

 教育改革を進める大学に共通するキーワードは「グローバル」と「コミュニケーション」だ。

 20年度に導入される「評価テスト」では、英語4技能を問われ、論理的思考もより重きが置かれるとみられる。大学の試行錯誤はさらに加速していくはずだ。(ライター・浅野裕見子)

AERA 2017年2月20日号