米国本土の西部にいた日系人約12万人の運命は、さらに悲惨で、鉄条網と監視塔に囲まれた強制収容所に入れられた。そのうちの3分の2は米国生まれだ。財産も搾取された。米軍のプロパガンダでは、日系人・日本人は、ゴキブリ、サル、ネズミとされ、「ジャップが一掃されるまで、仕事を続けろ」というポスターまで現れた。全ての引き金となったのが、真珠湾攻撃だ。

 戦艦ミズーリ記念館の日本語ガイド、寺内光一氏(67)は、こう話す。

「日系人は、戦時中も苦労して、(第2次大戦中、日系2世で編成され、欧州戦線に投入された)第442連隊も、米国を支援するために送り出し、たくさんの人が亡くなった。その歴史があってこそ、ハワイでは、今の日系人社会があるという意識は強いと思います」

●平和と和解を強調

 オバマ大統領は所感で、第442連隊にも触れた。ハワイ生まれの大統領として、第442連隊に従軍したダニエル・イノウエ元上院議員にも尊敬の念を示し、退役軍人らをたたえると、会場から温かい拍手が湧き起こった。さらに、

「日米は共に、戦争よりも平和において勝ち得るものが多いこと、そして、和解は、報復よりもより多くの恩恵をもたらすことを、世界に向けたメッセージとして発信していきたいと思います」

 と、平和と和解を強調した。

 ハワイ出身としても人気のオバマ氏が真珠湾で退役軍人をたたえ、日本の首脳と「和解」を訴えたことで、さらにオバマ氏への支持が高まることにもなる。日米両首脳は、こうして、日米の関係と同盟が、「不可逆」であることを訴えた。

 そこで意識していたのは、ドナルド・トランプ次期大統領にほかならないだろう。

 トランプ氏は12月22日、ツイッターにこう投稿した。

「世界が核に関して良識を取り戻すまで、アメリカは核能力を大幅に強化、拡大する必要がある」

 オバマ氏が2009年に核兵器の廃絶を訴えた「プラハ演説」、さらに16年に広島訪問を実現させて発したメッセージとは、まさに逆を行くツイートだ。

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