それでも、特に健康リスクの上がる高齢者は、多剤服用での相互作用や、腎機能や肝機能低下などが問題になるケースは後を絶たない。手に入れやすいために、乱用して中毒に陥るケースも報告されている。

「たとえば、解熱鎮痛剤のアセトアミノフェンは、過剰服用で毎年3万人が入院し、重篤な肝障害を引き起こすこともあるため、FDA(米国食品医薬品局)も注意を促しています」

 医師にかかりづらいといわれる米国だが、市販薬を服用する際は、かかりつけ医(プライマリードクター)に電話で相談できる仕組みもあるという。

「セルフメディケーションは、消費者の理解が進むことはもちろんですが、薬剤師や医師など医療従事者の理解と協力、それを支える仕組みが機能してはじめて、成立するものだと知ってほしいです」

(編集部・澤志保)

AERA 2016年11月7日号