Dさん:接待相手は医者だけではなく、秘書や薬局のスタッフも。仲良くなれば、こっそり病院で使用している薬の一覧表を見せてくれたりする。そして、他社の入り込み具合を見ながら、自社の戦略をたてる。4番手、5番手ではなかなか入り込めないから、この病院は別の領域の薬を売り込もうとか。

Cさん:夕方になると医局(医者の詰め所)の前で先生を待った日々が懐かしいね。部屋から部屋に移る数秒間のために、テレビCMじゃないけど、15秒で収まるセリフを作っていました。最後の決め文句は「この薬には、世界的なエビデンス(科学的根拠)があります!」なんて。

●増える理系出身者

Dさん:思い出話はこのくらいにして……。昔は専門知識なんて二の次。飲食店事情に詳しく、場を盛り上げられるMRが重宝されたが、もはや用なし。

Aさん:製薬会社自体、二極化していて、早期退職を募ったり、訪問するだけのMRは減らしたりしていきたいという会社も増えています。生活習慣病などは、各企業の薬の効能も横並びのことも多く、MRの営業力がモノを言う部分もありました。しかし、ジェネリックも登場し、生活習慣病薬を売るためにMRを大量投入するという時代は終わりました。医者も簡単な情報ならネット経由で手に入れられるため、付加価値のある情報を伝えられるMRが求められていると思います。

Dさん:入ってくる人材も変わってきていますね。今の40代以上には文系出身のMRも多かったのですが、今は大学院を修了した人も珍しくないほど学歴が高く、理系が多い。どんな薬でも担当した昔と違い、いまは領域性に分けるなど、MRに専門的な知識を求める傾向にあります。

●MR派遣も増加の兆し

Bさん:コントラクトMR(以下CMR)と呼ばれる、MR派遣のニーズも増えています。欧米ではすでに1割ほどがCMRになっています。日本は現在5%程度だけど、欧米に追随する動きで増えているようです。MR未経験者でも、ジェネリックや難しくない薬の情報提供なら、担当するケースもあります。

Dさん:CMRは転勤がないのは魅力かもしれないけど、製薬会社の正社員MRと比べると待遇がね……。給料はかなり減ると思ったほうがいい。

Bさん:MRは薬が売れると一気にその領域に投入されるので、変動が大きい。CMRにすることで人件費を削減できるということでしょう。大手のCMR派遣会社では、1千人以上の規模のMRが所属しています。

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