9月17日公開の李相日監督作「怒り」 投げかける根源的な問いとは (2/2) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

AERA dot.

9月17日公開の李相日監督作「怒り」 投げかける根源的な問いとは

このエントリーをはてなブックマークに追加
坂口さゆりAERA
1974年新潟県生まれ。2004年、「69 sixty nine」でメジャー進出。06年の「フラガール」で国内の映画賞を独占。他に「悪人」「許されざる者」など(写真提供:東宝)

1974年新潟県生まれ。2004年、「69 sixty nine」でメジャー進出。06年の「フラガール」で国内の映画賞を独占。他に「悪人」「許されざる者」など(写真提供:東宝)

吉田修一の同名小説を映画化。「目に見えないものを必死に追いかけて映画をつくりきったつもりです」と李監督。長く余韻の残る大作 (c)2016映画「怒り」製作委員会

吉田修一の同名小説を映画化。「目に見えないものを必死に追いかけて映画をつくりきったつもりです」と李監督。長く余韻の残る大作 (c)2016映画「怒り」製作委員会

●踏ん張って格闘する

「謙さんと言えば、正しくて自信のある大人の男といったイメージですが、ぼくの見方は違います。パブリックイメージは謙さんが積み上げてきたものだと思う。そんな彼がまとってきたものを脱いでいった時に今回演じた洋平的なものがいると思ったし、それを見たかった」(李監督)

 洋平の娘・愛子を演じた宮崎あおいは、壊れかけた頭の弱そうな女の子。プロデューサーを含め周りからもこのキャスティングには意外という反応をされたと言う。だが、李監督は、

「僕からすると、愛子とあおいちゃんには必要以上の自己愛がないような感じがするんです。2人は根っこの部分でつながっている」

 ゲイにしか見えない妻夫木聡は、相手役の綾野剛と実際に一緒に生活してリアリティーを追求。沖縄の無人島で暮らす怪しい男を演じた森山未來も、クランクイン前に無人島暮らしを経験した。若い広瀬すずと新人・佐久本宝は、監督が「自我がなくなるまで追い込んだ」と言う。

「つくっている自分たちに嘘がないこと」を大切にする李監督ならではのこだわりが、圧倒的なリアリティーを持った真実の物語として観る者に迫る。

「流されるのは簡単ですが、流されないで踏ん張って、格闘している人の生み出すものは残るんですよね。自分もそうでありたい」

(フリーランス記者・坂口さゆり)

AERA 2016年9月19日号


トップにもどる AERA記事一覧

おすすめの記事おすすめの記事
関連記事関連記事

あわせて読みたい あわせて読みたい