●有識者会議は議論の場として非常に危ない

──安倍政権は有識者会議での議論を考えているようです。

久能:有識者会議はメンバーの選び方によって議論の方向性が決まってしまい、ある一定の思惑に左右される可能性がある。非常に危ないですね。むしろ、皇族の代表も参加される皇室会議で議論してはどうでしょう。

 皇室会議のメンバーは10人で、首相、衆参両院の正副議長、宮内庁長官、最高裁判所長官と判事のほかに皇族が2人。バランスを意識して構成されています。しかも、今の皇族代表は、陛下のお気持ちを最もよくご存じの秋篠宮さまです。

──皇太子ご夫妻のみではなく秋篠宮ご夫妻も含めて、新しい天皇像、新しい皇室を築いていくことも考えられますか。
久能:国事行為は天皇にしかできませんが、東日本大震災後の被災地へのお見舞いでは、皇族方は天皇、皇后両陛下と同じところには行っていらっしゃらない。両陛下がおいでになれないところに他の皇族方が行かれるという形を取っていました。これが、今後の皇室の姿ではないかと思います。

近重:天皇陛下も「皇太子と秋篠宮に」とおっしゃっていますが、これは次の次の代が悠仁さまであるということも大きいと思います。皇太子さまが即位された後、やはり秋篠宮さまにも、皇太子さまを支えつつ存在感を示してほしいというお気持ちなのではないでしょうか。

山下:今の制度では秋篠宮殿下の即位はかなりご高齢になってからになるでしょう。「定年制」も必要かもしれません。
近重:将来、もし秋篠宮殿下が80歳で即位され数年の在位になってしまうとしたら、国民にとっても負担は大きい。「定年制」問題は、いまの天皇陛下に限った話ではなく、今後の皇室を考えるうえでも重要です。

山下:はっきりしているのは、皇族の数は急には増えないということです。譲位が実現すると両陛下の公務は新天皇、皇后が担う。皇太子殿下と雅子妃殿下の現在の公務は、秋篠宮殿下が皇太子になるかどうかにかかわらず、秋篠宮殿下と紀子妃殿下が担うしかない。そうすると秋篠宮殿下と紀子妃殿下の公務はどうなるのか。おふたりの内親王殿下が担うとしても、ご結婚で皇室を離れられたらどうするのか。このように話が広がっていけば女性宮家の問題も出てくるでしょう。

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