久能:しかし、あらゆる問題を討議していたら何十年かかるかわかりません。陛下のお気持ちをくんで、まずは生前退位を実現する。並行して、長期的な議論を進めるべきだと思います。

 小泉内閣のとき、父親ではなく母親が天皇につながる「女系天皇」についてあれだけ議論になったのに、悠仁さまが生まれたことでそれが白紙に戻ってしまった。将来、悠仁さまに男の子が生まれなかったらどうなるか、シミュレーションしていれば、この10年間、議論できたはずです。

近重:今回、菅(義偉)官房長官が「国民にオープンに」とコメントしていましたが、本当に国民の意見を聞いて議論をしていくべきです。女性宮家にしても、最初に話題になったのは、小泉内閣の皇室典範改正案発表の時。三笠宮家の寛仁殿下(故人)の長女・彬子さまが24歳になられる05年末のことです。眞子さまは来月25歳。議論を急ぐ必要があります。

久能:同感です。眞子さまはすでに結婚適齢期。数年後に結婚されるかもしれない。その後に女性宮家を認める法律ができたら、眞子さまは一般国民で、佳子さま皇族という変な状況になりかねない。

 ただ、一気にすべてを解決することはできません。「女系天皇」の問題は、次の代に回してもいいかもしれない。

 愛子さまは「男系」ですから、女系天皇ではなく「女性天皇」。過去には女性天皇が8人もおいでになった。「愛子天皇」は無理な話ではありません。次の代にじっくりと議論すればいいのです。

山下:問題を切り分けて考えることが大事ですね。そして、議論し続けることだと思います。

(構成/編集部・作田裕史)

AERA 2016年9月12日号