「『女性活躍』と言いながら、現在のシステムでは、会社が女性社員を戦力と期待して待つことが難しい。予約制を早く導入してほしい」

 もし、年度途中の入園がかなえば、0歳児4月入園の土俵に乗れない人も救われるようになるかもしれない。

「生まれ月によって『保活』にこれほど有利不利が出てしまうのは解せない」

 と感じているのは都内の会社員で、第1子を妊娠中の女性(38)。現在住んでいる、保活の激戦区・世田谷区では、1次選考の申し込み締め切りが11月30日。女性は出産予定日が12月4日のため申し込みに間に合わず、競争率が格段に高くなる2次選考にしか申し込めない。これでは保活は絶望的なので、「出産予定」でも申し込みを受け付けてくれる他の区に引っ越すことを決めた。

●嫌でも0歳4月を狙う

 認可保育園に入園できなかったときのために無認可の保育園にも見学に行ったが、月ごとの誕生日の園児を紹介する掲示物には10月以降生まれの子ばかり。きっと、認可園に入れなかった子たちだろう。保活では秋冬生まれが絶対的に不利なのだと感じたという。

 産後1年は休んで子育てしたいという思いはあるが、0歳児4月を逃すと保育園に入れないかもしれないため、職場の人たちから「早すぎるんじゃないの?」と言われながらも、来年の4月入園に申し込むつもりだ。女性は言う。

「親も0歳児で預けたくないし、保育園側も負担が大きいから受け入れたくないのに、現実は0歳じゃなきゃ入れないから無理やり入れる。矛盾しているなと思いますね。予約制などで年度途中に入園できる仕組みがあれば、ぜひ利用したい」

 実はいくつかの自治体ではすでに予約制度がある。

 東京都葛飾区では10年以上前から、育児休業を取得する人を対象に、5月から10月までの入園を事前に内定する制度を設けている。同区子育て支援課入園相談係長の宅間大介さんは、

「安心して育児休業を取得していただき、スムーズな職場復帰のために利用してもらえたら」

 と制度の目的を説明する。

 予約制度は0歳児の受け入れが12人以上の比較的大きい公立の認可園で実施していて、19園が各3人ずつ予約枠を設けている。2016年度は159人が申し込んだ。ただ、申し込みは年1回で12月上旬に締め切るため、それ以降に生まれた子どもは利用できないのが難点だ。

●夜泣きと仕事両立ムリ

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