ジャル ロイヤル ケータリング「空の旅の印象担って翔ぶ」ジャル ロイヤル ケータリング 羽田工場 業務部営業グループ長 鈴木斉明 (40)撮影/写真部・東川哲也
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ジャル ロイヤル ケータリング
「空の旅の印象担って翔ぶ」

ジャル ロイヤル ケータリング 羽田工場 業務部
営業グループ長 鈴木斉明 (40)
撮影/写真部・東川哲也

 アエラにて好評連載中の「ニッポンの課長」。

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 現場を駆けずりまわって、マネジメントもやる。部下と上司の間に立って、仕事をやりとげる。それが「課長」だ。

 あの企業の課長はどんな現場で、何に取り組んでいるのか。彼らの現場を取材をした。

 今回はジャル ロイヤル ケータリングの「ニッポンの課長」を紹介する。

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■ジャル ロイヤル ケータリング 羽田工場 業務部 営業グループ長 鈴木斉明 (40)

 東京都大田区といえば、日本のものづくりを支える町工場の集積地。とはいえ、この工場の中は、レストランのような調理台がずらりと並び、シェフが飛び回る。機内食を製造するジャル ロイヤル ケータリングの羽田工場だ。

 機内食は人気レストランのスターシェフが監修することも多く、多種多様で高度な調理技術が求められるため、オートメーション化はできない。一つひとつ手作りされ、できあがったらすぐに巨大な冷蔵庫に。5度以下の徹底した安全管理のもと「搭乗」の時を待つ国際線1日20便、約5千食。深夜便にも対応するため、工場も24時間態勢だ。

 鈴木斉明=写真中央=は、高校卒業後に入社。今年で勤続22年になる。2014年、羽田工場を開業させるため、成田工場から移った。機内食のメニューは路線、時間帯、クラスによって異なる。鈴木は、日本航空(JAL)との交渉を行う営業グループで6人の部下をまとめる。メニューの入れ替えは季節ごと。リピーターが多い路線ではもっと短いスパンで変更することもある。新しいコンセプト、企画をどう実現させるか。JALと現場の板挟みになる部署だ、と笑う。

「現場にいたら『無理』と言いたくなるような難しい課題でも『無理』とは言いたくない。その解決策を考えるのが営業の仕事。部署内でみんなのベクトルが合っていれば、乗り越えられると思っています」

 社外でも社内でも「いつも笑顔で応えてくれる」「前向きな言葉をかけてくれる」と評されるが、本人は「もともとあまりテンションが変わらないタイプ」と淡々。

 格安航空会社(LCC)の台頭もあり、航空業界は低価格化が席巻。機内食のコスト削減も課題になった。しかし、JALは機内食を他社との差別化の重要なポイントととらえ、高品質にこだわった。

「世界一の機内食を提供したい」

 旅の最初の食事であり、最後の食事にもなる機内食。鈴木のストレートな思いが今日も、空を駆ける。

(文中敬称略)

※本稿登場課長の所属や年齢は掲載時のものです

(ライター・安楽由紀子)

AERA 2016年4月25日号