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長時間労働にパタハラ 男性の家庭進出を阻む壁

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AERA編集部・小林明子、石田かおるAERA#出産と子育て#転職

(立体イラスト/kucci、撮影/写真部・岸本絢)

(立体イラスト/kucci、撮影/写真部・岸本絢)

 都内の大手マーケティング系企業に勤めていた男性(34)は長男(3)が生まれた後、家事や育児のメイン担当になった。大手出版社に勤める妻(35)は産後4カ月で職場復帰。海外とのやりとりもあって深夜帰宅になることが多かった。

 妻の復職当時、男性の職場は得意先の近くにある支社で、徒歩30分かかる保育園に長男を送ってから職場に向かうと大幅に遅刻。迎えに行くには夕方4時頃に退社しなければならなかった。これが職場で問題となり、男性は育休取得を願い出た。ところが上司からこう言われた。

「出世できなくなるから育休は取らないほうがいい」

 実際、20年ほど前に取得した男性社員が1人いるが、窓際に追いやられている。本社へ異動すれば通勤時間は短縮できるが、子育て中の女性社員を見る限り昇進の道は閉ざされているようだった。キャリアアップとは程遠い「マミートラック」ならぬ「パピートラック」に陥るのは明らかだった。

●パタハラ降格23%

 改めて現職場での時短勤務を希望したが「周りに示しがつかない」と却下された。会社に見切りをつけ、専業主夫になることにした。

 男性が育児をする権利や機会を職場の上司や同僚などが侵害する言動は「パタハラ(パタニティー・ハラスメント)」と呼ばれる。昨年発足したパタハラ対策プロジェクトの調査によると、育休や時短・フレックスを申請した男性のうち、降格や左遷などの不利益な待遇をされたことがある人は23%、同僚や上司から否定的な発言をされたことのある人が45%に上った。

「奥さん働かせて自分が休むの?」

「君だけが毎日早く帰って、チームの和を乱している」

 といった言葉が夫たちにぶつけられていたと、共同代表の佐藤士文さんは説明する。仕事にフルコミットする価値観から抜け出せず、弱音を吐けない上司たちの苦しみが、パタハラという形で下の世代に連鎖しているようだ。


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