このレベルの人たちに、私はやすやすと門戸を開けてしまったの? これが、私の女としての評価なの?

 1年余の経験で既に学んだことがある。婚活は「合わせ鏡」だと。自分と同レベルの相手しかやってこないという、婚活スナック「aeru」のママ、浦田みかさんの教えだ。

 aeruには1200人の男女が登録している。ここに通い、会員のファイルから会いたい人を選んで店に伝え、相手がOKであれば店で会う。昨年は15組が成婚した。浦田さんが言う。

「初回は店で会うので安心です。気の合う男友達からスタートしてください。いろんな人に会うことで見る目も磨かれますから。何より、自分を客観視できます」

 出たー! 50女が何より恐れる「客観視」。1年前に味わった、地獄の洗礼。浦田さんが、私を見て言う。

「前よりずっといいですよ。髪形もお化粧もすごくよくなっています。いい感じですよ」 思いがけないジャッジが、冬枯れの心にじーんとしみ渡る。昔のセルフイメージに固執し、何もしないで、「棚ぼた」を待つよりずっといいのだ。

 浦田さんいわく、今の婚活マーケットは7~8割が女性。たった2割の少ない男を取り合うのが婚活市場の現実だそうだ。

「アラフィフの方には、プロフィル婚活はお勧めしないですね。実際に会うことです。いかに、見た目年齢を若くするか。サービス精神と居心地のよさって、男性には大事なんですよ」

 受け身でおとなしくかわいらしい、というのは若い女性だけが採れる戦術で、アラフォー以上は「新しい世界を見せてくれる女性」が鍵だとか。

「相手を楽しませるコミュニケーション力、女と認識させる見せ方、相手に何かを与える行動力。これが3本柱ですね」

 これが「若くない」婚活の鍵なのだ。(ノンフィクション作家・黒川祥子)

AERA 2016年5月23日号より抜粋