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 ノーベル平和賞を昨年、最年少で受賞したマララ・ユスフザイさんを追ったドキュメンタリー映画「わたしはマララ」が公開される。デイヴィス・グッゲンハイム監督に、撮影の裏側やマララさんの人柄を聞いた。

──撮影に困難は?

 僕はユダヤ系とイタリア系の家庭の出身。ムスリムの家族というのはどんなものか、見当もつかなかった。でも、彼らは本当に普通の家族で、温かくて、僕の育った環境とほとんど同じだった。

 ドキュメンタリーを作る際の困難は相手から信頼を得ること。マララと父親のジアウディンとは最初、カメラも照明も入れないで、数時間にわたり話をした。彼らが自分たちのストーリーを僕に話すのに慣れると、数日でカメラの前でも話せるようになった。

──マララは(学校を設立し、自ら教育を行った)父親の影響を強く受けていると思うか。

 これは父と娘の物語でもある。マララは控えめな母親トール・ペカイにもよく似ている。情に厚いところや常に他の人を思いやるところは母親譲り。そこに父親の情熱的な性格や「世界をもっと良いものに」という目的意識が加わって強い人間性を形成した。

──弟と言い争う場面など、普通の女の子であることも描写した。

 僕には娘が2人いる。自分は娘が意見をはっきり言うように促せるだろうか、その勇気があるだろうか、と悩みながら制作した。マララも本当に普通の女の子。ただ、さまざまな状況の中で、世界のリーダーのように“振る舞う”ことを選択してきたのだと思う。

──映画が世界の人々に伝えるメッセージは。

 どうしたらマララのようになれるのか、と多くの人に聞かれた。家族を大切にするこ
と、人生の重大な選択をすることは誰にでもできるということが、映画で伝わると思う。

AERA  2015年12月14日号より抜粋