「映画を作るとき、みんなで一つのものに向かってアドレナリンが出ている感じがたまらなく好き」

 高校2年の夏、映画に関心のある若者らが集まる団体で知り合った仲間6人と作品を作った。当然、お金はない。

「親に借りたりもしたけど、みんなバイトしたりして集めました。私はカラオケ屋さんとチーズフォンデュのお店で半年間バイト。とにかく必死でしたね」

 貯めた20万円で、熱海の親戚の家に1週間、雑魚寝をしながら全編75分の長編映画「真夏の夢」を作った。「ダメ元で応募した」という「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2015」での正式出品が決まった。

 その後2本のミュージックビデオの監督を務め、今は来年夏の公開に向け、映画制作に打ち込む。制服、プール、仲間とのじゃれあい……。高校生の“今”しか撮れないシーンで埋めていく。4月からは大学生だ。

「人の感情をもっと深く知るために心理学を勉強しようと思っています。今度は家族をテーマに映画を作りたい。お風呂に入れなくても徹夜が続いても、気にしないくらい映画って夢中になれるんです」

AERA  2015年12月14日号より抜粋