一方で、宗教や異文化の理解を問う問題がないことが気になった、と前出の男性は話す。

「日本についてどんなに詳しくても、外のことを知らなければ、例えばイスラム教の人をとんかつ屋に連れて行きかねない。国としてどんなガイドを理想としているのかが、試験から全く見えてこなかった」

 問題作成の狙いを観光庁に問い合わせると、「国家資格付与の根幹に関わる重要事項については公表できない」との回答だった。

以下が、今年度の通訳案内士試験の内容の一例だ。雑学王もびっくりな難問に挑戦してみてはいかがだろうか。

[問]訪日した外国人が話題にする日本の製品にウォシュレットやシャワートイレ等の商標で知られる温水洗浄便座がある。日本の一般世帯における普及率(内閣府消費動向調査2014年3月)として最も適切なものはどれか。

(1)45% (2)60% (3)75% (4)90%
(正解は(3)。一般常識から)

[問]富士山観光のひとつでもある箱根で、箱根登山鉄道の箱根湯本を出発し、芦ノ湖遊覧船の箱根町に出る場合、その乗り換え地点の経路として正しいものはどれか。

(1)箱根湯本―強羅―大涌谷―早雲山―桃源台―箱根町
(2)箱根湯本―強羅―大涌谷―桃源台―早雲山―箱根町
(3)箱根湯本―強羅―早雲山―大涌谷―桃源台―箱根町
(4)箱根湯本―強羅―早雲山―桃源台―大涌谷―箱根町
(正解は(3)。日本地理から)

[問]「瀬戸内しまなみ海道」のルート上に所在しない観光地はどこか。

(1)大山祇神社 (2)耕三寺(3)平山郁夫美術館 (4)大和ミュージアム
(正解は(4)。日本地理から)

AERA 2015年12月7日号より抜粋