この秋から冬にかけて、フランスで注目を集める監督や俳優たちの映画が相次いで公開される。「カミーユ、恋はふたたび」(公開中)の監督・主演は実力派と名高いノエミ・ルヴォウスキー。こちらもテーマは「過去」と「恋愛」。過去に戻れたら、将来うまくいかなくなると分かっている相手との未来をどう紡ぐべきなのか。そんな本質的な問いを、ポップで軽やかに描く。

 派手さはないし、必ずしも海外ウケを狙っているわけではないけれど、観る者の過去や現在に寄り添い、そっと背中を押してくれる。そんな作品が多い。

 フランス映画のフランス国外でのプロモーション活動を行うユニフランス・フィルムズ東京支局長の手束紀子さんによると、今年の日本でのフランス映画公開本数は55本(合作含む)。2012年以降、毎年平均50本が公開されているため、特に今年の公開本数が多いというわけではない。だが、こんな傾向が見られるという。

「フランスでは新世代の作り手が台頭し、比較的若い監督の、低予算で必ずしもスターが出てこない作品が一般にも評価されている。そして、そうした作品を日本の配給会社が買ってくれている。住む国が違っても、共感できるような作品なんです」

AERA 2015年11月30日号より抜粋