だが一方で、東海岸を好む会社もある。丸の内のIT関連企業で営業やマーケティングを担当する男性(40代)は、「渋谷系の会社と思われて、トクすることはない」と、キッパリ。理由はお客との関係性にある。

 主に一般ユーザーを対象にする「渋谷系」のビジネスと違い、男性の会社は企業向けのサービスを提供する。外資ゆえに認知度は低いが、ビジネス規模は「1ショット1億円になることも」。一にも二にも信頼が大切なのだ。

 その信頼は、丸の内にいることである程度得られる。お客に名刺を渡したとき、「丸の内にいらっしゃるんですね」と言われたら最初のハードルはクリア。家賃は正直高いがその支払い能力が信頼を生むのだ。

 丸の内を含む東京駅近隣は、日本経済の中心でもある。現在、大手町、丸の内、有楽町を指す「丸の内エリア」には、約100棟のビルに4千社、23万人が働く。日本の総売上高の約1割を、この街が支えている。

 働く人は、とにかくマジメだ。まちづくりの一環として09年から続く「丸の内朝大学」。いわゆる朝活だが、そのブームが落ち着いたあとも続き、今年でついに7年目。これまで、のべ1万3千人以上が参加した。

 スタートは7時15分。就業前のリラックスタイムにもかかわらず、人気の講座は趣味系ではなく社会課題解決系。石川・能登など、実際の地域と一緒に地域活性化のプロジェクトを立ち上げ、実行する。

AERA  2015年9月14日号より抜粋