岩嵜さん自身、2010年に米イリノイ工科大学のデザイン大学院に留学している。留学して、イノベーションにはコネクティング力が重要だと学んだ。全然関係ないと思われたドットとドットをつなぎ、そこから新しい関係性を生み出す。人と人、チームとチーム、概念と概念をつなぐ、そういう立ち回りができるファシリテーターが組織に増えていくべきだと考えている。

 社会人の出願が殺到している慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科も「つなぐ」ことを目指している。

「今までの大学院は、経営学、会計学とばらばらに『部分』だけを教えていた。それを統合するのは、『学生さん、自分でどうぞ』って。でも、いま世の中の問題はすごく複雑になっています。それを全体としてとらえ、みんなで協力しながら、学問分野を超え、あるいは産官学を超えて解かなければいけない時代がきた。だからこそ、横につなぐ学問が必要なんです」(慶應義塾大学大学院教授・前野隆司教授)

AERA  2015年6月29日号より抜粋