「ひとり親だからこそ、ちゃんと子育てしなければ」――。家族形態への偏見や不寛容さが、ひとり親のプレッシャーにつながっている(撮影/写真部・大嶋千尋)
「ひとり親だからこそ、ちゃんと子育てしなければ」――。家族形態への偏見や不寛容さが、ひとり親のプレッシャーにつながっている(撮影/写真部・大嶋千尋)

 批判や偏見をかわすため、「悲愴でない家庭」や「ちゃんとした子育て」を目指す。離婚などでシングルとなったひとり親の肩には、幾重もの負担がのしかかっている。

 夫婦ともに稼ぎ、家事と育児を協力し合うことでようやく生活を成り立たせている共働き親からしてみれば、一家の大黒柱・シュフ・母か父もしくは母も父も…と「一人何役」もこなすシングル親は、いわば「スーパー親」だ。認可保育所の入園選考では、シングル世帯は共働き世帯を抜いてトップで内定を得られるスペックで、やっかみの対象になることもある。誰もが子育てに不安や葛藤を抱えているため、「シングルだから」という言い訳を許さないような空気が、親たちの間に蔓延しているのではないだろうか。

 AERAワーキングマザー1000人委員会が5月12日、シングルマザーやシングルファーザーら10人による意見交換会を開いたところ、こんな声がいくつも上がった。

「行政からの手当は必要だけど、もらうと後ろめたく感じる」

「自己責任で離婚したんだろう」「優遇ばかりされて」と言いたげな、世間の突き刺さるような視線を感じるという。参加者には、PTAや学童保育の役員を務めた経験のある人が少なくなかった。共働き世帯が敬遠する面倒な役割を率先して引き受ける。それは批判を先に封じるための、処世術でもあるのだ。

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