女性は、男性社会のなかの圧倒的マイノリティーとして、孤立しがちだ。だからこそ、社外人脈で得られる「戦友感覚」が大事だ。

 現在、安倍政権は「指導的な地位に占める女性の割合を、2020年までに30%」とする目標を掲げているが、14年の総務省の労働力調査によると、管理職に占める女性の割合は11.3%に過ぎない。女性がキャリアアップをしようとする時、社内ではいまだに圧倒的少数派だ。

 さらに女性は、子育てしているかどうかで働き方が変わるケースも多く、同じワーキングマザーであっても仕事と子育ての比重の置き方は人それぞれだ。だからこそ、女性は孤立しやすい。そんな女性たちにとって、社外に広く人脈を張り巡らし、同志を見つけ、結束することは重要だ。そこで得られるのは、説明不要の「戦友感覚」だ。

 基礎化粧品メーカーO・R・Pを起業した山下瑞希さん(33)は、13年に仲間4人と「TOKYO起業girls」を立ち上げた。女性起業家たちがメンバーになり、普段からSNSでつながり、プライベートでも顔を合わせて情報を交換し合う。

「あの人ががんばっているから私もがんばれる、と精神的なよりどころができたことが大きい」と、山下さん。ビジネスで日本と海外を行き来しているメンバーなどもいる。つながることで、女性起業家たちの持つ最新のトレンド情報やセンスを吸収することができ、新商品開発などに生かされることもあるという。

 山下さんは21歳で起業。同社のスキンケア商品はいまや全国約5千店舗で販売されているが、仕事を始めた当初は鳴かず飛ばずの時期もあった。創業期を支えてくれたのは家族など。同世代の女性起業家はまわりにいなかった。山下さんは言う。

「同じ仲間たちとつながると、みんなきれいで、オシャレで、考え方もしっかりしていて刺激をもらえる。得がたいメンバーであることをお互いに実感しています」

 女性経営者たちのネットワーク組織「女性社長.net」を企画運営する、コラボラボ代表の横田響子さん(38)は、自らも多くの女性たちに助けられてきたという。内閣府の男女共同参画推進連携会議議員などを務め、年代もさまざまな女性たちとつながってきた。横田さんは女性人脈の特徴をこう語る。

「男性社会において女性経営者や管理職は少数派。だから女性同士はたとえビジネス上のライバルであっても仲間意識が働く。『競争』ではなく『共創』意識が高いのだと思います」

AERA 2015年6月1日号より抜粋