ヒエラルキーが根強く残るとされる医療の世界。「治してやるのだから患者は言うことを聞け」という医師はまだ多い。しかし、もうそれでは通用しない。「2023年問題」を前に、医学部は揺れている。

 少子化で受験生が減っているのに、医学部医学科志願者は増加傾向が続く。地方を中心に、これまでは東大をはじめとする東京の大学に進学していた高校生が、経済的なことを理由に地元国立大の医学部を目指すケースが増えているという。

 一方、最難関の医学部受験や医師国家試験をくぐり抜けた医師たちが、世間を驚かせる事件を起こす事態も絶えることがない。最近も、群馬大学医学部附属病院で肝臓手術を巡り、1人の医師が診療の過失で8人の患者を死亡させた事件が明らかになった。下村博文・文部科学大臣は、アエラ本誌3月16日号に掲載した鼎談でこう述べた。

「東大理Ⅲに行く学生の中には一定の割合で、医者になりたいのではなく日本最難関だから東大理Ⅲを選ぶという人がいると聞きます。それで、患者から信頼される医者になれますか」

 外圧も強まっている。医学部の「2023年問題」と言われるものだ。

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