米国・カナダ以外の医学部出身者が米国で医業を行う資格を審査する機関(ECFMG)が10年に、「23年以降は国際的な認証評価を受けた医学部の出身者しか申請を受け付けない」と宣言した。多様な国の医学部出身者が集まる米国で、医師の質を担保するためだ。欧米諸国や韓国、台湾などは国際的な基準にもとづく自国の医学教育の認証評価制度を持っているが、日本にはまだない。このままでは日本の医学部を卒業しても世界では働けない。

 国際基準に合わせ、臨床実習を増やす、実技を評価する、教育の質を評価するなどの仕組みづくりが、急ピッチで進む。

 筑波大は04年から、体験実習とディスカッションを増やした。外来エスコート実習のほか、福祉施設や付属病院、地域医療の現場での体験実習を義務づけている。卒業前の臨床実習も全国で一番長い78週間。大原教授によると、1年次から体験実習を多く経験することで、自分で考えて行動できる学生が増え、国家試験の合格率は上がったという。

AERA  2015年4月27日号より抜粋