年齢的な「産み時」を超えても、妊娠・出産を助ける医療技術がある。子どもをめぐる女性の悩みは深まるばかりだ(撮影/写真部・加藤夏子)
年齢的な「産み時」を超えても、妊娠・出産を助ける医療技術がある。子どもをめぐる女性の悩みは深まるばかりだ(撮影/写真部・加藤夏子)

 少子高齢化が進み、いま次世代を育てることは国を挙げての最重要課題になった。そんな中、子どもを持たないことに窮屈ささえ感じる「子なしハラスメント」もある。

 だが、そんな社会を「ハラスメント」だと断じることができる人ばかりではない。むしろその空気の中で、子どもがいないことに欠如感をあおられ、無意識のうちに「自衛策」を探している女性たちもいる。

 関西に住む独身の女性会社員(39)はいま、40歳を目前にして、子どもを産んだ人と比べて、自分は「周回遅れ」で人生を送っているように感じている。

「なんだろう、この遅刻した感は。自分で違う道を選んだくせに…」
 
 20代を海外で過ごした。自分の才能が生かせる業界を選び、興味が湧くままに好きな仕事に没頭してきた。当時は、「好きな人ができたから留学をあきらめる」と話す友人の気持ちが、全く理解できなかった。

 いま周囲を見渡せば、職場は子育て中の人ばかり。子どもを育てながら、好きな仕事をしている知人も大勢いる。

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