「自分は子どもをあきらめる道を選んだというより、両立を目指す努力をしていなかったのかもしれない…」

 いまできることは何かないか。ある日、通勤電車の中で卵子凍結の説明会開催の告知を目にした。クリニックのセミナーに参加すると、結婚願望は薄かったのに、その翌週には凍結の申し込みをしていた。いま凍結保存に向け準備中だ。

「年齢のせいで可能性を失うのが怖い。先手を打っておく。卵子凍結は保険です」

 日本生殖医学会は健康な独身女性の卵子凍結を認めた。この4月からは、千葉県浦安市が順天堂大学医学部附属浦安病院での卵子凍結の研究事業に補助金を出す。

 かつてなら、加齢や肉体的限界を自然に受け入れていたのに、いまはそれに抗わずにはいられない。特に、努力で人生を切り開いてきたキャリア女性たちは、何もせずにあきらめるなんてできないのだ。

AERA  2015年4月20日号より抜粋