「花男で描き残したものを表現するには、今しかないと思った」という、作者の神尾葉子さんは、こう続ける。

「男子のモノローグは、やったことがなかったんです。晴はいけすかないところもあるけれど、憧れの先輩(道明寺司)に近づこうとバカみたいに頑張っていて、男性にも感情移入してもらえるんじゃないか、と」

 確かに、はたから見るとやりすぎでは、と思う一途さは、少年漫画の主人公のものだ。「花男」といえば、少女漫画の王道だが、担当編集者の籾山悠太さんによれば、神尾作品は「意外に展開がジャンプ的」なのだという。

「ジャンプの連載は、毎週19ページくらいなんですが、必ず1カ所は読者を驚かせる場面を入れ、クライマックスを作ります。神尾さんの作品には、そうしたリズムがあります」

 神尾さんも「展開が速くて続きが気になる、ジェットコースターのような作品にしたい」と意気込みを語る。作家と編集者がタッグを組んだ、今回の試みだが、アプリへのアクセス数を見ると、「男性読者もしっかりつかめた」(籾山さん)と、手応えがあるそうだ。

AERA 2015年4月27日号より抜粋