宗教は、恋愛にどんな影響を与えるのか。インドネシアで異教徒に恋をした男性は、時にハードルに直面しながらも、彼女との交際を続けている。
インドネシアの首都ジャカルタで報道関係の仕事に就く埼玉県出身の藤本迅さん(28)は、年明けからイスラム教徒の女性との交際を始めた。
彼女の名はディアン・ニング・ライラ・マリスカさん(21)。首都から飛行機で1時間半ほどの距離にある東ジャワ州の町に住む大学4年生だ。
出会いは日本語を学ぶ彼女が藤本さんの会社でインターンシップを始めた昨年8月。人懐っこく、よく笑う性格に引かれるようになった。
月に1度のデート中、お祈りで席を立つことには驚かなくなった。ただ、ムスリム女性は、結婚するまでセックスをしないのが一般的。彼女はキスまではOKで、藤本さんは理解しているつもりだが、反対に彼女のほうが気に掛けて、「日本人の彼女を探せばいい」と言ってきたことがある。
その時はさすがに、「そういうことを言わないで、と喧嘩になりました」と笑う。
確かに、ムスリム女性と結ばれるには、さまざまなハードルが立ちはだかる。交際は結婚が前提で、そうなれば「仏教徒」である藤本さんが改宗しなければならない。そもそも、結婚相手として異教徒や外国人を受け付けない厳格な家庭もある。
しかし、この恋をあきらめたくはない。宗教の違いを難しく考えることはやめにした。
「好きという感情に身を任せ、いい意味で重くとらえずにお互いを知っていきたいんです。言語も宗教も文化も違うので、きちんと話し合って、将来を考えたい」
※AERA 2015年3月23日号より抜粋