座談会では、様々な立場の女性10人が集まり、ざっくばらんに話してもらった(撮影/今村拓馬)
座談会では、様々な立場の女性10人が集まり、ざっくばらんに話してもらった(撮影/今村拓馬)
「すべての女性が輝く」を気持ち悪いキャッチフレーズだと感じる人は多いようだ(撮影/今村拓馬)
「すべての女性が輝く」を気持ち悪いキャッチフレーズだと感じる人は多いようだ(撮影/今村拓馬)

 安倍政権は10月、「すべての女性が輝く政策パッケージ」を決めた。子育て支援、主婦の再就職支援、パートの正社員化、在宅勤務の推進、セクハラ防止策の徹底など多岐にわたる項目が並ぶ。だがそこには、「産め、働け、育てよ、介護せよ」といった本音の号令が透けて見える。女性10人に同パッケージを熟読してもらったところ、厳しい意見が飛んだ。

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 IT勤務(37):女性の希望として挙げられている6項目の1番目が「安心して妊娠・出産・子育て・介護をしたい」。いったい日本の女性の何%がそれを希望してるのかって話。数字で示そうよ。

 広告勤務(42):女性が家事も育児も介護もやるのが前提で、それなら国も応援するよ、というスタンスでしょ。それじゃなんにも始まんないよね~!しょせん、専業主婦の妻に家のことを全部やってもらっているオッサンたちが、会議室で考えたんじゃない?だから女性政策がニュースで流れても、しっくりこない。根本から間違っているというか。

 メーカー勤務(32):私は昨年、海外から帰国したんですが、日本のメディアは女性への偏見を当たり前に流していますよね。なんでヌード写真の中づり広告を見ながら出勤しなきゃならないの。東京都議会のセクハラ発言も、いまどき信じられない。政治家が女性を軽く見ているから、もう救いようがない。

 人材会社勤務(32):だから「すべての女性が輝く」なんて気持ち悪いキャッチフレーズが垂れ流しなんでしょうね。私は最近、転職したんですが、転職エージェントからは、書類の通過率は通常30%だが、ママだと10%に下がると言われました。しかも今は「保活」の真っ最中。認可保育園に預けられる見込みも立たないうえに来年度に始まる「子ども・子育て支援新制度」に振り回されて何度も区役所通い。輝ける実感も、国に応援してもらっている実感もありませんよ。

 金融機関勤務(30):私も来年度の職場復帰に向けて保活中です。女性登用と言って大企業で働く管理職を応援するのかと思えば、共働きで収入が多いと認可保育園の入園選考では優先順位が低くなる。国は女性に働いてほしいのか、働くのを邪魔したいのか。

AERA 2014年12月22日号より抜粋