子どもの進学や家の購入など、人生にはお金のかかるイベントが多い。将来慌てないために、賢い計画の立て方を専門家に聞いた。

大多数の人にとって、人生最大の買い物となりそうなのが住宅だ。購入すると決めたら、

「頭金は最低でも物件の2割は準備したい。加えて、購入時の諸費用も現金で忘れずに用意します。税金や登記費用、融資手数料や保険料、引っ越し代など諸費用は物件価格によって異なりますが、1割程度を目安に考えたほうが良いでしょう。住宅の購入は“入り口”で間違えると、金額が大きいだけに取り返しがつかなくなります」

 ファイナンシャルプランナーの大木美子さんは、そう話す。

 大木さんの事務所へ相談しに来る人の中には頭金を十分用意せずに購入し、ローンが払いきれなくなり教育費に支障が出たケース、諸費用も融資可能な住宅ローンを組んでしまったばっかりに、有利に借り換えができないケースなどもあるという。

 住宅ローンを支払う世代は子育て中の家庭が少なくない。所得によっては児童手当が制限されるし、子どもの人数によっては教育費が負担になるため、住宅の購入に充てられる額が変わってくる。まずは、年収と預貯金を冷静に見つめることが大事だ。

「住宅を買う必要が本当にあるのかを考えましょう。物件は返せる金額を想定してから見に行くこと。実際に見てしまうと、『俺が一家の主だ!』と思ってしまうのか、夫のほうが欲しがる場合が多い。妻が払いきれるか心配して相談に来るケースがあります。固定金利で払えない物件は、考え直したほうが良さそうです」(大木さん)

 無理して買ってもローンが払いきれず、いざ売ろうと思っても売れなければ困る。一人暮らしの女性はマンションを買うより老後を考えてコミュニティーを充実させるほうが大事という。

AERA  2014年9月22日号より抜粋