専業主婦願望の女性は「ママのようになりたい」と声を揃える。彼女たちは、お金の心配のない暮らしにも憧れるが…… (立体イラスト/kucci、撮影/写真部・堀内慶太郎)
専業主婦願望の女性は「ママのようになりたい」と声を揃える。彼女たちは、お金の心配のない暮らしにも憧れるが…… (立体イラスト/kucci、撮影/写真部・堀内慶太郎)

 将来の夢は専業主婦──。女性の社会進出が当たり前になり、安倍政権も「女性活躍担当相」を新設して女性の活躍を成長戦略の柱とする。なのに今、若い女性の間に「専業主婦志向」が高まっている。

 博報堂生活総合研究所の調査(12年)によると、20代女性の専業主婦願望がもっとも高く、34.6%と3人に1人が専業主婦になりたいと答えている。

 大手銀行で働く女性(23)は言う。

結婚して子どもを産み、子どもや家族を大事にしたいです」

 出世欲はなく会社に執着する気もない。そこそこ働いて、27、28歳で結婚し30歳前には出産して家庭に入り、子どもは2人か3人ほしいと話す。

 専業主婦になるのが小さい頃からの夢だという都内の私立女子大2年の女性(19)曰く、

「家事をして子どもを育て、旦那さんが帰ってくるのを待って、仕事で疲れた旦那さんを癒やす。そういう奥さんになりたいと思っています」

 戦後、女性たちは権利として社会参加を勝ち取ってきたのではなかったのか。なぜ、彼女たちは「主婦」という生き方に憧れるのか…。女性生活アナリストの山本貴代さんが注目するのが、彼女たちの母親の生き方だ。

 20歳前後の若者たちの母親は、40代後半から50代前半が多い。彼女たちが社会に出て働いていたのは、男女雇用機会均等法が施行された86年前後。だが、実際、均等法の恩恵を受けたのは少数。主流は、いわゆる「三高男」と結婚して寿退社するのが「女の花道」とされていた。しかも、母親の母親、つまり若い子たちの祖母は「結婚は幸せ」と考えていた世代。

「結婚して家庭に入るのが幸せというのが、3世代の流れの中にあるのかもしれません」(山本さん)

AERA 2014年9月15日号より抜粋