ジブリ作品を育てた本の森 鈴木敏夫を宮崎駿につなげた232冊 (2/3) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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ジブリ作品を育てた本の森 鈴木敏夫を宮崎駿につなげた232冊

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編集部・小柳暁子AERA
鈴木敏夫さんの書斎は秘密基地のよう。書棚のあちこちにお茶目な小物も配置され、“向こう側の世界”へと誘ってくれる(撮影/写真部・岡田晃奈)

鈴木敏夫さんの書斎は秘密基地のよう。書棚のあちこちにお茶目な小物も配置され、“向こう側の世界”へと誘ってくれる(撮影/写真部・岡田晃奈)

一見脈略なく並べられた本棚の行間を読む。書店から個人の本棚に収まった時、その人の本棚という文脈の中で本は新たな意味を持つ(撮影/写真部・岡田晃奈)

一見脈略なく並べられた本棚の行間を読む。書店から個人の本棚に収まった時、その人の本棚という文脈の中で本は新たな意味を持つ(撮影/写真部・岡田晃奈)

子ども時代から、寝る前には5分でも、必ず本を開いてから眠る。そのまま読みふけって朝を迎えることも(撮影/写真部・岡田晃奈)

子ども時代から、寝る前には5分でも、必ず本を開いてから眠る。そのまま読みふけって朝を迎えることも(撮影/写真部・岡田晃奈)

 後に『ちばてつやの世界』というイラスト集を作る機会があり、嬉しかったという。

「手塚治虫さんは本当に勉強になったんですよ。『原稿料は安くていい』と。あれは衝撃的でしたね。『高くなると注文がなくなるでしょ。どうせ単行本になれば売れますから』って。手塚さんは現役でいたかった人なんですね」

 もう一つの衝撃は、手塚さんのマネージャーだったという。

「この世のものとは思えないくらい、いいかげんな人で。なぜあの人をマネージャーにしているんですかと聞いたら、『役に立つんですよ、鈴木さん』って。優秀な人だと、仕事が忙しくなって大変ですよと。その人にまかせておけばいろいろなことがうまくいかない。そこで担当者が手塚さんに何とかしてくださいと言いに来る。そこで『なんだ、僕に直接言ってくれればいいのに』って言えるでしょ、と」

●「読んでないんですか」

 この後も、手塚治虫の一筋縄ではいかない人間性を示すエピソードは尽きなかった。

「一冊、というと本当に悩んじゃうんですけど、なんだかんだいいながら『火の鳥』ですね」

 他にあがったのは、バロン吉元の『柔侠伝』、山松ゆうきちの「競輪必勝法」など。青柳裕介の『青い抱擁』も大好きで「週刊漫画サンデー」の連載を毎週切り取っていたという。林静一の『赤色エレジー』も好きな一冊。

「林静一さんは学校を出て東映動画に入って『太陽の王子 ホルスの大冒険』を作っている。高畑(勲)さんと池袋の喫茶店で打ち合わせしている時に、パクさん、って近寄ってきたのが林さんだった」

 学生時代、大学院進学の選択肢もあったという鈴木さんだけに、人文書の蔵書も豊富だ。中でも宮崎さんに「読んでないんですか」と言われて読み始めたという堀田善衞とは縁が深い。

「ご縁があって堀田さんのところに年に1回伺っていた。お亡くなりになったあと、娘さんから先生の蔵書を引き取ってほしいと。僕、いただいたんですよ。そこに岩波の古典全集があって、買わなくてよかった!って」


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