働く女性の前に立ちはだかる数々の壁。最近では、女性同士の間にも壁が生まれることがあるようだ。

 家庭を持ち子育てをしながら、彼女はあんなに働いている。子どものいない自分は、彼女と同じ仕事量ではだめなんじゃないか――。ワーキングマザー(ワーママ)が職場や子育てで抱える悩みは深いが、彼女たちの「両方で頑張る」姿をプレッシャーに感じる人たちもいる。

 JTBモチベーションズのコンサルタント・菊入みゆきさんはこう話す。

「独身女性や子どものいない女性がワーママにプレッシャーを感じるのは、彼女たちが家庭や子どもなど、職場以外に自分たちの知らない世界を持っているからだと思います。自分に何が不足しているのか探求してみるのも手かもしれません」

 結婚すれば、あるいは子どもを持てば、その「不足」感が解消されると思ってはいけない。

「そこはきちんと区別して。仕事のやる気がアップする要因の一つに、プライベートの充実が挙げられます。特に何かを始めなくても、家族や友人に自分が今こんな仕事をしているんだと理解してもらうことが、プライベートの充実につながるんですよ」(菊入さん)

 キャリアコンサルティングを行うキャリアステージ代表・千代田真紀さんも言う。

「日本人は何でも他人と比較しがちですが、その必要はありません。何もかも手にしているように見えるワーママが幸せかどうかは、本人にしかわからない。欠如にばかり目を向けず、事実をきちんと見ることです」

AERA  2014年5月5日―12日合併号より抜粋