「活版印刷のすべてが新鮮でした。機械の見た目の面白さ、活字が並んでいる様子。モノとしても魅力がありますよね。オフセット印刷に見慣れた若い世代にとって活版は新しい可能性を感じさせるものだと思います」(唯さん)

 オールライト工房では年に1回開催する「印刷のいろはフェスタ」のほか、イベントでのワークショップもおこなっている。自分で組んだ活字がその場で印刷される臨場感が好評で、修学旅行や社会科見学に訪れる学校もあるそうだ。

 ワークショップ工房の案内を担当する高田もとのりさんは「活版印刷との橋渡し、きっかけ作りをしていけたら」と語る。

「名刺やカードなど個人的なものを活版で──という要望が多いのですが、個人で頼む方法がわからない。そうした人と印刷の現場をつなぐ仕組みを作るのもデザインだと思っています」(高田舞さん)

AERA 2014年2月17日号より抜粋