温故知新専門家山本直味さん(45)昭和初期のレシピを再現し、食べた感想などをブログに綴って7年半。現在は温故知新専門家を名乗る。昨年には単行本も出版した(撮影/今村拓馬)
温故知新専門家
山本直味さん(45)

昭和初期のレシピを再現し、食べた感想などをブログに綴って7年半。現在は温故知新専門家を名乗る。昨年には単行本も出版した(撮影/今村拓馬)
懐かしさを感じるレシピ(撮影/今村拓馬)
懐かしさを感じるレシピ(撮影/今村拓馬)

 大正から昭和にかけてを描いたNHK朝の連続ドラマ「ごちそうさん」が好調だ。ストーリーはもちろんだが、現代に通じる洋風文化の華やかな描写にも惹きつけられる。そうした大正・昭和浪漫に惹かれて、実生活に取り入れる人もいるようだ。

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 料理に興味を持つのは、東京都板橋区在住の事務員、山本直味さん(45)だ。

 2006年から始めた、当時のレシピを元に再現料理を作り味の感想を書くブログの更新回数は200を超える。

「料理本は実用書。図書館に保存されているものが、人の口に入らないのは残念」と言う。

 元はマンガ家志望。14年前、北海道から上京した。ネタ探しで昭和初期の主婦雑誌に載っている料理を調べた折、話題を集めようとブログを始めた。マンガは掲載がかなわなかったが、図書館に通って調べたレシピを再現する作業にハマった。料理は苦手だったが、昭和初期の料理は実験みたいで楽しいという。

「魚の水煮にすりおろしキュウリのドレッシングをかけたり、トマトにアスパラの缶詰を詰めスタッフドトマトと呼ぶなど、独創的で衝撃を受ける。新しい文化が入ってきて、試行錯誤する過程の大胆さや好奇心がすごい。どんな料理なのか、見てみたいし味を知りたいんです」

 昨年11月、ブログをまとめた本『温故知新で食べてみた』が主婦の友社から出版。幻となった昭和初期の料理に、光が当たるかもしれないと期待する。

AERA  2014年2月3日号より抜粋