「猪瀬直樹 公式サイト」のプロフィールのページにある笑顔の猪瀬氏。幼少時から大学時代、ジャーナリストと自らの足跡を紹介している(撮影/写真部・岡田晃奈)
「猪瀬直樹 公式サイト」のプロフィールのページにある笑顔の猪瀬氏。幼少時から大学時代、ジャーナリストと自らの足跡を紹介している(撮影/写真部・岡田晃奈)

 ついに辞職に追い込まれた猪瀬直樹東京都知事。5千万円をめぐる刑事告発が捜査当局に提出され、今後の行方に注目が集まる。

 都知事就任から1年を迎えた猪瀬氏の独特のくぐもった声は、200人の報道陣の熱気の中で今にも消え入りそうだった。潔い振る舞い。それが繰り返し問われた。

「なぜ辞職するまで、これだけ長引いたのか」

 実際、その影響が2020年東京五輪の開催準備に出ている。組織委員会の理事に、都知事の就任が予定されていたが、5千万円問題で選出作業が滞っていた。スポーツジャーナリストの玉木正之氏は、「辞任するのが遅かった。組織委員会の立ち上げのためもっと早く辞めるべきだった」と指摘する。

 ここまで往生際が悪かったことに、猪瀬氏の幼少期からの人間形成が関係していると見る関係者は多い。

「幼いときに父親を亡くし、母親に育てられた。母親だけに育てられた人間というのは、気が弱い傾向があるのですが、対社会とか対世間になるとものすごく強気を示します。自分を守るというか、別の言い方もできるのに強く出てしまう。これは自信がない裏返しで心理学の初歩として認識されています」

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