西崎さんは、妊娠が判明してすぐ、子どもの父親である男性と婚約。しかし妊娠4カ月のころ、一方的に破棄された。悩んだ末、「非婚」の母として一人で育てることを決意。東京での仕事を辞め、実家のある大阪に戻った。3年前に現在の職に就き、非課税から課税世帯に変わったとたん、各種の負担が重くのしかかってきた。

「ぎりぎりで生活している母子家庭にこれはないでしょう、というぐらい税金も保育料も高くて、しんどすぎます」

 背景にあるのは、法律婚という制度の枠内にちゃんと入った親とその子に限って支援するという、差別的な考えだ。事実婚や同性婚を解消して子どもを引き取った親にも、控除は適用されない。終戦の6年後に、戦死者の妻およびその子どもの支援を主な目的に始まったときの社会観を、長く引きずっているようにみえる。

AERA 2013年9月9日号