(※イメージ)
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 結婚していない男女の間に生まれた非嫡出子の遺産相続分を、嫡出子の半分と定めた民法が違憲という判決が下された。これにより今、注目されつつある「事実婚」という家族の形。だが家族・家庭のあり方に関する社会の「不寛容」に悩まされているのは、事実婚の人々だけではない。

「同じシングルマザーなのに…」

 大阪市内で4歳の息子と2人で暮らす西崎麻衣さん(28)は、納得がいかない。

 今年度支払う住民税・所得税は合計12万2千円、息子が通う市内の保育所の保育料は24万1200円。薬局に勤務し、年収約300万円の身には重い負担だ。一方、同じ大阪市民で同程度の所得があり、4歳児を育てるシングルマザーは一般的に、住民税・所得税の合計で約5万円、保育料は2万4千円、西崎さんより少なくて済む。

「近所のピアノ教室の前を通るたび、息子が『行きたい』って言うんです。うちも保育料が少なければ…」

 西崎さんの負担が大きい理由は一つ。法律婚をしたことがないからだ。法的に結婚し、死別または離婚して再婚しないでいる人は「寡婦(夫)」と呼ばれる。そのうち、扶養親族がいるか、死別してかつ所得が500万円以下の人は、税金面で負担軽減される。所得税法が定める「寡婦(夫)控除」だ。国税庁によると、対象となる女性は約23万人。うち約2万人に、子どもなどの扶養親族がいるとされる。

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